ミーハー主義。

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Amazonプライムビデオ『戦闘車』がスポンサー無視で最高すぎる

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(出典:『戦闘車』 : 浜田雅功軍vs千原ジュニア軍による自動車合戦バラエティ - Amazon プライム・ビデオ| Amazon.co.jp

10月6日より、Amazonプライムビデオで『戦闘車』が配信開始されました。”車好きで知られる芸能人たち総勢18名が各々の車(戦闘車)に乗り込み、「浜田雅功軍」、「千原ジュニア軍」に分かれて対決。”という内容です。

予告編を見てもらえればわかりますが、車がぶっ壊れまくる試合が繰り広げられる”デンジャーテイメント”です。

www.youtube.com

”4つの競技で負けると自軍の戦闘車を相手に奪われ、 さらに戦う中で走れなくなった車は即廃車”、というルール。四つの競技とは、2台が壁ギリギリに止まれるかを勝負する「寸止めの関」、障害物レースの「地獄街道」、飛距離の長さを測る「浪漫飛行」、戦闘車をぶつけ合う「相撲DEATH」というもの。どれもハードな内容です。 

この番組はあらゆる媒体で「地上波では絶対にできない」と言われています。テレビ業界で働く私が、三つの観点から「地上波ではできない」のか解説していきましょう。

 

スポンサーへの配慮が必要ない

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『戦闘車』が地上波でできない理由で一番大きな点は、制作費の面でも、自主規制の面でもなく、スポンサーへの向き合いという点でしょう。

テレビを見ていると自動車メーカーのCMがたくさん流れるように、自動車業界というのはテレビ局にとって超大口のスポンサーなのです。年間に一千億近い広告費を使い、地上波テレビの6%程度を構成しています。(2016年業種別広告費(マスコミ四媒体別広告費)※衛星メディア関連は除く - ナレッジ&データ - 電通

民放というのは当然、CMによって売り上げを出しているわけですから、スポンサーへの配慮を徹底して行います。例えば刑事ドラマでも車で轢いて殺人する、という方法は絶対に行われませんし、VWの排ガス不正の問題などの不祥事も報道番組では非常に慎重に取り扱われるようにします。バラエティ番組で車を使ったロケをする時も、スポンサーに合わせた車種を用意しています。民放のCMビジネスというモデルでは信頼関係を成り立たせるために必要な配慮です。

そのため民放では、『戦闘車』のように様々なメーカーの車を思う存分ぶっ壊すというのはあまりにハードルが高すぎるのです。スポンサーの商品を壊す、ということ自体が有りえないことであり、ボロボロの車の映像はメーカーにとってもブランドを損ねる可能性があります。この企画を地上波でやるには、それぞれの自動車メーカーに許可を取った上で行うことになるので現実的ではないでしょう。

Amazonプライムビデオは、制作費を広告料ではなくユーザーから得ているため、スポンサーの影響を受けることなく戦闘車のようなコンテンツを配信できるのです。

制作の規模や企画内容がピックアップされることが多いですが、なによりもスポンサーの問題が地上波ではできない理由となっています。

 

莫大な制作費

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二点目が制作費です。『戦闘車』ではカメラ92台(GoPro 56台、手持ちカメラ34台、ドローン2台)も使われているとメイキング映像から分かります。

B’zのライブで使われるカメラが50台ほどですから、単純にカメラの台数だけで言えばそれ以上の規模なのです。もっとも戦闘車では多くのカメラがGoPro ですが。

現在の地上波ではゴールデンの番組ではスタジオでは6から8台程度、ロケでは2台程度ですから、いかにお金がかかっているかわかるでしょう。

もう一つが制作会社の面です。ダウンタウンの浜田さんが出ているのでわかる通り、『戦闘車』は吉本制作の番組です。吉本制作は下記の記事でもわかる通り、制作費が高いのです。この記事で言われている冠番組に該当するため、吉本が抱えるスタッフが入ってるのです。

「要は、カネの問題です。吉本お抱えスタッフのギャラは相場より4割高は当たり前。テレビ局より吉本に恩義があるスタッフは、常に吉本の意向に沿う台本を書くから、露骨に吉本を嫌うテレビマンたちが増えてきました」

吉本芸人に、冠番組激減の動き - エキサイトニュース(1/2)

また映像を見ればわかる通り、広大な敷地に建てられた豪華なセットとベンツやアルファロメオをはじめとする、沢山の高級車にも当然莫大なお金がかかっているでしょう。

カメラやセットなどの面でも人件費の面でもお金がかかっており、なかなか地上波では難しい規模になっています。

なお、吉本がNetflixと組むようになった理由はこちらの記事にあります。

www.businessinsider.jp

 

コンプライアンスがゆるい

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よく聞く言葉かと思いますが、地上波ではコンプライアンス(=法令遵守)の一環として企画内容に自主規制が入ります。最近では、暴力や性表現、イジメや爆発、破壊などの過激な演出には厳しい審査が行われる現状があります。クレームを極力少なくするための対処です。

自主規制を行うようになった背景には、企画へのクレームや批判がネット上で拡散されるようになったことが挙げられるでしょう。昔も今も企画に対してクレームを言う人は一定数いますし、それは変わりません。ただし、インターネットによって一意見のクレームが広がるようになってしまったのです。

ネットが今ほど普及していない昔の時代に過激な演出に対してクレームをいう場合は、テレビ局に直接電話をするというのが一般的でした。そのため、電話で個別に対応することができましたし、仮に300件苦情があったとしても視聴者はそれを知ることはありません。

しかし、現代ではTwitterやまとめサイト等で、一人のクレームを世界中に発信することができるようになり、番組を見ていない人も共感・同調できる時代になっているのです。24時間テレビの前後は常にネットが炎上状態にあるように。一人の意見から始まるクレームがパワーを持ち、番組やそのスポンサーまでも叩かれるようになりました。そこで、批判を最低限に抑えるために厳しい自主規制を設け、誰からも非難されない企画が増えていったのです。

前置きが長くなりましたが、『戦闘車』は内容の通り車を破壊しまくる暴力的な部分もあり、倫理的にも「尖った」企画です。そのため、企画内容という点自体も地上波ではまず放送できないと言えるでしょう。

すでに、『戦闘車』に対する批判も出ています。これでも配信休止することなく続けられるのは、有料コンテンツの大きな強みであると言えるでしょう。

まとめ

Amazonプライムビデオの『戦闘車』がなぜ地上波で放送できないのか、という点を三つの観点から説明していきました。今までの番組の作り方とは全く異なる方法で制作されており、今後も面白い番組に期待したいと思います。最新話は毎週金曜日に配信されるので要チェックです!